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掲載開始日:2024年7月18日更新日:2024年7月18日
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多摩川自然情報館の皆さんの「夢中になっているもの」スペシャルインタビュー
多摩川自然情報館は、多摩川を中心とした市内の自然環境を紹介する環境学習施設です。そこには、子どもの頃から夢中になった経験を活かしてスペシャリストとして働く解説員や、展示・イベントを通じて自然環境を守る大切さを広める活動をしている方々がいます。
今回は、多摩川自然情報館に関係する方々のインタビューをお届けいたします。
解説員「蛾の帝王・石川さん」
多摩川自然情報館解説員「蛾の帝王」石川さんに聞きました。
「好きこそものの上手なれ」というのは至極名言だと思います。
夢中になっているものと現在のお仕事を教えてください
堅苦しく言えば生物に関する調査・研究・啓発ですが、ぶっちゃけると単にありとあらゆる生き物を見ることが好きなだけです。
仕事では生物を中心とした環境調査、個人活動では生物の分布調査や記録・観察会の実施などをしています。
出会いと魅力を教えてください
小学生になる前くらいに、キャンプに出掛けた際「ゴマフボクトウ」と「クスサン」という蛾を採集し、名前を調べたのが最初の記憶です。
それぞれの生き物が、多種多様な外観や生態、行動などを持っていて、見ていて飽きないし、面白いです。
続けるために必要だと思うことを教えてください
自分が本当に好きなもの、興味があることについて、まわりの人に何を言われても、自信をもって「自分が好きだからそれでよい」と気にせず、取り組むことだと思います。
続けていて良かったことを教えてください
今は亡き祖母に「そんなに虫ばっかり取って将来どうなるのか」と心配されていましたが、社会人になって、図鑑など何冊かの出版に関わるようになり「やっと虫で飯が食えるようになった」と言ったら、とても喜んでくれたことが一番うれしかったです。
夢中になっているものを仕事にしたいという方へのアドバイスをください
「好きこそものの上手なれ」というのは至極名言だと思っています。自分が好きなこと、興味を持ったものなどをとにかく深く掘り下げる、それも義務感とかではなく、自然に単に本当に心から好きだから苦にならない、3度の飯より好きといったものを見つけられると同時に、本当に好きなことは、途中ブランクを空けてでもあきらめないでいると、将来輝けると思います。
夢中になれるものを見つけたいという方へのアドバイスをください
とにかく最初は、気になることや興味があることになんでも手を出してみることではないかと思います。その中で、人の目や言動にかかわらず、どうしても続けていきたい、これだけは負けたくないと思えるものがあれば、それを続けていくと良いのではないかと思います。
解説員「竹内さん」
多摩川自然情報館解説員 竹内さんに聞きました。
多摩川好きの仲間の輪が広がっていくことが嬉しいです。
夢中になっているものと現在のお仕事を教えてください
身近な生き物観察(特にカラス類)とイベントの企画・展示物の作成です。
多摩川沿いの自然環境・生き物を、もっと身近に、魅力的に感じてもらえるような企画を考えています。
出会いや魅力を教えてください
子どもの頃から山や川で生き物を観察することが好きだったので、生まれつきかもしれません。
日々変化があり、観察できる生き物が全く同じという日がない事が魅力です。
続けるために必要だと思うことを教えてください
暑くても寒くても野外にいる時間が多いので、よく食べ、よく寝て、健康でいることだと思います。
続けていて良かったことを教えてください
情報館の活動を通じて身近な生き物に興味をもつようになりました!という声を利用者からいただいたこと。
多摩川好きの仲間の輪が広がったことです。
夢中になっているものを仕事にしたいという方へのアドバイスをください
常にこれが好き!というアピールをしていると、おのずと道が開けるかもしれません。
夢中になれるものを見つけたいという方へのアドバイスをください
試しに情報館に遊びに来てみてください。
今まで何気なく見ていた自然環境に夢中になるかもしれませんよ。
ゲスト講師「365日野草生活(R)のんさん」
5月のイベントに講師としてお招きした、自然観察指導員の365日野草生活(R)のんさんにお話を聞きました。
野草を見つけることは「宝物さがし」、植物は毎日変化するため飽きません。
夢中になっているものと現在のお仕事を教えてください
多摩川を中心に日本全国で、年100回ほど植物観察会を開催しています。またテレビ番組や YouTube チャンネルへの出演、講演会登壇なども行っています。
テレビのお仕事では、サバイバル番組やクイズ番組で野草クイズを作ることもしています。
とあるテレビドラマで、植物の監修をしました。当初の台本ではそんなに野草が登場する予定ではなかったのですが、私が監修に就くことで、主人公たちが野草を食べ、野草でケガを治療し、野草でお皿を作り、ライバルとの取引に野草を使用することになったので、視聴者から「野草ドラマ」と言われるようになりました。
「365日野草生活って、毎日野草を食べているの?」と聞かれることがあります。ときには食べることもありますが、基本的には自分から半径1mの距離にある身近な植物を日々観察する生活をしています。
総括して言うと、「身近な植物の面白さを広める活動」をしています。
出会いを教えてください
私は16年間ほど一般企業に勤めており、この頃は、植物にはまったく興味がありませんでした。
なぜ植物に夢中になったかと言うと、10年前に運命の出会いがあったからです。
「野草と出会ったのかな?」と思うかもしれませんが、そうではなく、10年前にうさぎと一緒に暮らし始めたことがきっかけです。
うさぎを飼う前に読んだ飼育書に「うさぎは野草が好き」と書かれていました。今年の1月にも大きな災害が起こりましたが、災害で物流が止まったときに、うさぎの餌は手に入りません。うさぎをお迎えする上でのリスク管理のためにも、飼い主が野草を覚えた方が良いと思いました。
「うさぎにおいしい野草を食べさせたい」、「災害時にも自分がうさぎを守れるように」と考え、うさぎと暮らし始めた翌日に、図鑑を片手に、うさぎの好きなタンポポやクローバーを探そうと多摩川に行きました。
でも、私はタンポポやクローバーが分かりませんでした。図鑑と見比べても、どこか違うもののように見えました。
実は多摩川には、タンポポもクローバーも何種類も生えており、どれも図鑑と違う種類だということが後から分かり、これは面白いぞと感じました。
ここから野草沼にはまっていきました。
全く野草を知らなかった私が、今ではウサギの専門誌の野草特集ページの監修をするようにもなりました。人生、何が起こるか分かりません。
10年前から一緒に暮らしているうさぎは、今年で11歳になり、人間で言うと92歳から94歳くらいです。うさぎの寿命は約5年から6年と言われています。野草のおかげか分かりませんが、今も野草を食べて元気に生きています。
魅力を教えてください
私は野草を探すことを「宝物さがし」と言っています。
植物は春夏秋冬で変化し、毎日飽きません。すぐ近くで探せる、今日探せる、今日見つかる宝物です。
自分から半径1メートル距離にある身近な植物を日々観察することで、街を彩る植物の暮らしぶりが明らかになります。
単なる緑色の背景だった植物が、それぞれに名前を持つ一個人であり、個性的な隣人として認識できるようになります。
野草を知ることで世界の解像度が上がります。下を向いて歩くことで、世界が色鮮やかに見えるようになっていきました。
多摩川に広がる野草の世界を通して、毎日足元の宝物さがしをしているのです。
続けていて良かったことを教えてください
価値観が多様化する中で「好き」を貫くことは難しいかもしれませんが、熱中するものを見つけたときに、自身が興味関心を持っていることを客観的に見つめなおせます。
好きなことであれば、時間を忘れるほど没頭し、継続して努力することができます。
夢中になることで自身も成長できるのです。
夢中になっているものを仕事にしたいという方へのアドバイスを教えてください
私は自然や生物、環境への関心を仕事につなげるのは難しいと言われる中で、会社員から野草愛好家として転身を遂げました。
「価値観が多様化する中で「好き」を貫き、自分らしく自然と向き合い、生き生きと活動する姿には、まさに現代のロールモデル」なんて言われることもあります。
自分がなにをしているときに「充実感」が得られるか、時間を忘れるほど「没頭」するか、そこに答えがあると思っています。
「好きなことで生きる」というのは、自分にとって「価値のあること」と「得意なこと」を組み合わせることです。
これは仕事じゃなくて、生きがい、ライフワークでも良いと思います。
標本を寄贈した高校生「石川さん」
中学生の頃に作成した昆虫の標本を寄贈し、多摩川自然情報館で展示されている、生物部の高校生石川さんにお話を聞きました。
多摩川の生態系の豊かさを知ってほしいです。
夢中になっているものの主な活動内容を教えてください
現在は主に調布市多摩川で昆虫採集を行っており、絶滅危惧種を含む316種の昆虫を採集しました。
その標本を情報館に寄贈し、多摩川の生態系の豊かさを広める活動を行っています。
出会いを教えてください
中学・高校の生物部の昆虫班に入り、採集を本格的に行うようになりました。その中で以前から生物多様性について興味を持っていたので、標本を寄贈するということも目標にして現在の採集方法になりました。
魅力を教えてください
昆虫は種ごとに大きさ、色、形などが異なり、種数も豊富で、採集を行っていると様々な個性を持った昆虫に何種類も出会えるため、全く飽きることがありません。
また、予想しなかった昆虫が採れることもあり、その点に近場である多摩川での採集の魅力が詰まっていると思います。
続けていて良かったことを教えてください
多摩川自然情報館に標本を寄贈することで、生物多様性保全を仕事としている方々に接する機会ができたことで、将来の参考になるとともに、昆虫の知識もさらに深まりました。