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掲載開始日:2021年12月13日更新日:2021年12月13日
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令和3年度第1回調布市環境モニター「ミミズの不思議」
調布市環境モニターとは
環境モニターは、市民と市が協働で市内の自然環境を観察し、自然環境の保全に活用していこうというグループ活動です。植物観察を中心に、調布の地形、鳥、昆虫などの自然観察などを行っています。毎回講師や市民サポーターの案内で、おおむね2時間30分程度、市内のポイントを定期的に観察して歩き、植生などを記録します。
毎年4月に18歳以上の方を対象に、調布市環境モニターの会員を募集しておりますので、興味がある方はぜひお申し込みください。詳細は、市報や市ホームページでお知らせします。
今回は、令和3年10月30日(土曜日)に駿河台大学経済経営学部教授の伊藤雅道先生を講師に迎え、染地ふれあいの家で行われた"第1回ミミズの不思議"の様子を報告します。
第1回 ミミズの不思議
ミミズはオスとメスがない
ミミズの不思議な生態について解説していただきました。
ミミズに目はありませんが光を感じることができる生き物です。土の中で孤独に生きており、他の仲間がどこにいるのか分からないそうです。
ミミズはオスとメスの区別がない雌雄同体の生き物です。そのため、広い土の世界でミミズ同士が出会った際、出会った2個体とも産卵することができ、効率的に子孫を残すことができます。
1個体だけで産卵する種もいます。(単為生殖)
体節が大切
ミミズはニョロニョロした特徴を持つヒルやゴカイなどと同じ環形動物です。環形動物とは、体節と呼ばれるブロック状のものが集合してできた体型をしています。これにより狭い場所でももぐることに適した体型になったのです。また、隔壁と呼ばれるもので体の内部が仕切られた構造になっており、内臓などの重要な臓器が守られています。これにより、モグラなどの天敵に体の後ろの端部分を食べられてしまっても平気だそうです。まさにミミズにとって「体節は大切な構造」なのだと先生から解説をいただきました。
ミミズと良い土の関係
ミミズが生息する土は良い土と言われていますが、どうしてなのでしょうか。
ミミズが土をかき混ぜることで土壌耕耘(こううん)作用が働き、土壌微生物の活動を活発化します。
また、サラサラの土をミミズが食べて糞をすることで、土は以前より大きな土の粒(団粒)になります。団粒は植物にとって根が呼吸しやすくかつ、水はけが良いなどプラスに作用するのです。
さらに、窒素の無機化が促進されることで植物の成長に貢献します。
こうしたことから、ミミズは生活する周囲の環境を効果的に変化させる役割があり「生態系改変者」と呼ばれているそうです。
ミミズを解剖し顕微鏡で観察
講義で習ったことを踏まえ、先生にミミズを解剖していただき、体内の様子(外部形態や内部形態)を観察しました。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、ミミズを「大地の腸(はらわた)」と呼んだそうです。内部形態を観察してみると、まさに体が腸そのものという印象を受けました。
また、日本最大のミミズの一つであるシーボルトミミズは、肉眼で見ても綺麗な外見を観察できますが、顕微鏡で観察するとより一層、青紫色の光沢を観察することができました。
参加者からは、「高性能な顕微鏡で見たのは初めて」「心臓がはっきり見える」「こんな綺麗なミミズを見たことない」と驚きの感想をたくさんいただきました。