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ページ番号:3523

掲載開始日:2008年3月5日更新日:2008年3月5日

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平成19年度 市長コラム「手をつなぐ樹」(第92号から第110号まで)

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コラム一覧

第110号 みんなで潤いのあるまちづくり

 言うまでもなく、現在調布市は京王線立体交差事業を中核とする夢のあるまちづくりに全力で取り組んでいる。完成後の市の発展を楽しみにしながら、今年も着実に歩を進めていきたい。
 ただ、そのようないわゆるハード面の事業と並行して、市民生活に潤いをもたらす文化的側面の充実もとても大切だ。
 音楽と芝居小屋の「せんがわ劇場」の正式オープンは4月1日だが、すでに「調布の文化芸術と市民参画」をテーマにさまざまなイベントが進行中である。2月のオープニングセレモニーにおいては、参加いただいた演出家の蜷川幸雄氏に対し、多くの市民の皆様から蜷川作品の上演要望が寄せられた。実現すれば大変嬉しいことだ。この施設を最大限有効に活用するためにも、どうか多くの方に末永く主体的に関わっていただきたい。
 また、3月5日から9日まで「調布映画祭2008」が開催される。市内映画関連企業のご協力により映画製作の現場がミニチュアセットで再現されるほか、日活、大映撮影所の黄金時代の映画資料も展示される。その他、名作の上映やフィルムコンテストなどもお楽しみいただけると思う。
 今後も「文化のまち調布」の振興にご意見をお寄せいただければ幸いです。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成20年3月5日号掲載)

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第109号 日本最高賞を受賞

 2月5日付けの前号でも報告させていただいたが、このたび調布市が第3回優良ESCO事業の評価審査において金賞を受賞した(註)。
 現在、全国で官民合わせてきわめて多くの事業所が省エネルギー事業に積極的に取り組む中で、今年度最高賞に値する唯一の事業所として認定されたもので誠に光栄なことである。また、平成17年度に本表彰制度が設けられて以来、金賞を獲得した初めての自治体である点も嬉しい限りだ。
 また、今回の受賞は、事業実施を担当した東京電力を中心とする民間企業の成果でもある。委託企業の選定に当たっては、当然のことながら十分な時間をかけて慎重な検討を行ったが、本当に素晴らしい結果がもたらされ感謝に堪えない。心からの謝意を表すために東京電力にご連絡したところ勝俣社長にお会いできることとなり、早速感謝状を贈呈させていただいた。
 今年、日本が議長国を務める先進国サミットは7月上旬に北海道洞爺湖で開催されるが、メインテーマは地球環境問題とされている。その年の年頭に調布市の環境対策が日本一の評価を得たことはきわめて意義深い。今後も市民の皆様とともに、1年を通して環境問題全般について考えていきたい。

調布市長 長友貴樹

(註)ESCO事業とは事業所ごとの省エネルギー対策。市では、地球温暖化対策の一環として本庁舎と文化会館たづくりで、夜間電力の昼間空調への転用などに取り組み、これらが経済産業省所管の財団法人省エネルギーセンターに評価された。

(市報ちょうふ 平成20年2月20日号掲載)

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第108号 ゴールを目指して

 1月27日、少し肌寒いが澄みきった青空のもと、第52回調布市民駅伝競走大会が開催された。
 半世紀以上の歴史を重ね、調布の冬の風物詩としてすっかり市民生活に溶け込んだレースには、世代を超えて約1000人にも及ぶランナーが参加した。ただ、安全上の問題もあり、無制限に参加を認めるわけにはいかず、今年は約50チームの方にお断りをすることになった。残念だが、なにとぞご了承いただきたい。
 また、今年は中継所が調布南高校から布田小学校に変更となったが、大きな混乱もなく終了することができた。大会開催にご尽力いただいた数多くの皆様に深く感謝を申し上げます。
 一本のたすきにこめた熱い思い。中継所に入ってきて、誰の目からも疲労困憊(こんぱい)のランナーが必死になってたすきをつなぎ終えた時、観衆から思わず安堵のため息がもれる。団体競技の厳しさとチームワークの素晴らしさを目の当たりにする。
 ただ、個人競技も大変だ。同日に行われた大阪国際女子マラソンで、意識を失い何度も転倒しながら倒れこむようにゴールにたどり着いた福士選手。根性と言うような月並みな言葉ではとても言い表せない精神力。そこにも何かを学ばねばと思った。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成20年2月5日号掲載)

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第107号 新たな発展のために

 今年は年初から、国内外の経済情勢に暗雲が立ち込めている。米国のサブプライムローン問題の余波が全世界に押し寄せ、原油価格も高騰している。株価も世界的に下落傾向だ。
 ただ、顧みれば以前にも何回か困難な時期はあった。たとえば1970年代のニクソンショックおよび2次に渡るオイルショック。その際、世界経済は大打撃を受けたが、日本だけは影響を最小限に抑えその後も高成長を維持した。あの当時の「わが国だけは特別だ」という過剰ともいえる自信はどこから生まれていたのだろうか。もっとも、自信は時に、日本製品のダンピング(不当安売り)問題など傲慢な行動にもつながり、国際的な批判も浴びたが。
 日本が持続的な経済成長を確保することは極めて大切だが、それを可能にするためにも自信を取り戻す必要があると思う。そして、それは真に世界の調和ある発展を念頭においた余裕のある自信でなければならない。本来、素朴で思いやり深く、高い道徳心を持った国民性。私は日本人をそう信じている。偽ブランドの横行などが続くはずはない。
 そのあたりまえの意識を共有するために何をすべきか。今年1年間、そのことを考えていこうと思っている。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成20年1月20日号掲載)

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第106号 セピア色の日々

 私が通った公立中学校にもホームページがある。懐かしさもあって時折覗いているが、先日その中の掲示板コーナーに、30代の女性の投稿で次のような一節があった。「父が亡くなり久しぶりに訪れた豊中。両親の愛情に包まれ過ごした日々の思い出が胸一杯にこみあげてきます」。
 投稿者とはまったく年代も異なるが、時を越えてその心情はよく理解できる。思い起こせばいろいろなことがあった中学生時代。つらいことも確かにあったが、記憶が風化してセピア色となった情景の中では、クラブ活動など楽しかった出来事がことさら強く偲ばれる。
 今にしてつくづく思う。一見単調にも感じられるあの頃の日常生活はそれだけ平穏だったということではないかと。大きな不安感もない日々を与えてくれた親に感謝するほかない。
 現在の仕事に就いて有難いと思うことの一つは、報道などで私の名前を見つけた旧友が時折便りを寄せてくれることだ。今年も多摩地域の大学で教鞭をとる友人と約40年ぶりの再会を果たした。来年は旧友ネットワークづくりをしてみたいと思う。

 皆様にとって新たな年に寄せる期待はどのようなことでしょうか。どうか良い年をお迎え下さい。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年12月20日号掲載)

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第105号 風邪ニモ負ケズ

 今年は全国的にインフルエンザの患者数が増加しており、10月下旬に早くも例年の12月並みの水準に達したという。どうか予防を心がけてお気をつけいただきたい。また、子どもたちの健康管理にも気を配っていく必要がある。特に受験生にとっては、これからの季節が大事な追い込み時期になる。
 受験生の皆さん、毎日大変だね。勉強ははかどっていますか。一生懸命やっていても、なかなか点数が上がらない人もいるでしょう。何のために難しい問題の答えを考えなければいけないかと思うこともあるでしょう。
 確かに複雑な数式を解くようなことは日常生活の中ではあまりありません。でも、そのような難題を解こうとする過程で物事を筋道だてて考えるトレーニングが自然にできているのです。そして、それを分かりやすく説明するためには、やはり国語力が大切です。さらに、将来皆さんには、チャンスがあればどんどん世界に飛び出していろいろなことを自分の目で見て考えてほしい。そのためには、今しっかりと外国語の基礎を身につける必要があるのです。結果を考えすぎずにどうか全力を出し切って下さい。そのためにも体調を万全に。
 さあ、私も予防接種をしておかなければ。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年12月5日号掲載)

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第104号 霜月温情

 11月のある日の午後、夕方近くに仕事で役所を出た。
 品川通りに入り、ほどなく赤信号で車は停車した。何気なく前方を見ていると、横断歩道を自転車で渡った中年男性の様子が何かおかしいことに気づく。渡りきってから自転車を降りてしきりに道の反対側を見やっている。それがあまりに不自然だったので私も彼の視線方向に目をやると、なんと歩道で自転車が倒れ年配の男性がその下敷きになっているではないか。一人では起き上がれないようなので、私も反射的に車を出ようとした。その時、私よりも一瞬早くその場に三人の人が駆け寄った。いずれも男性で、一人は若い背広姿のビジネスマン。あとの二人は制服を着た中学生か高校生。三人はお年寄りの安否を確認しながら助け起こして、それぞれ服の汚れを落としたり自転車に異常がないか調べたりしている。お年寄りは大丈夫のようだ。
 それを見ながら、ほっとするとともに心温まる思いがした。三人は偶然そこに居合わせたにすぎない。事故を目撃した瞬間、とっさに身体が動いたのだろう。
 現代の大都市圏では、以前に比べて人間関係が希薄になってきたとよく言われるが、「人情いまだ地に墜(お)ちず」、そんな言葉が思わず脳裏に浮かんだ。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年11月20日号掲載)

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第103号 尊い遺志を受け継いで

 映像ジャーナリストの長井健司さんが、ミャンマーで反政府デモを取材中に銃撃され死亡した。死後も指がカメラを握る形で硬直していたという。常々、「誰も行かないところに誰かが行かなければ」と語っておられたそうだが、ジャーナリストとしての崇高な使命感を見る思いだ。心からご冥福をお祈りしたい。
 私も以前、仕事でさまざまな貧しい国や独裁国家を訪れたことがある。長井さんほどの気高い志を持っていたわけではないが、正直に言って時として絶望的になった。権力者は国際的な援助金でひたすら私腹を肥やす。そして、むしろ国が急速に豊かになっては困る。支援が減少してしまうから。世界にはそのような国がなんと多いことか。
 先月、世界各国の汚職を監視するNGO(註)が2007年版の汚職指数を発表したが、なんと180の国・地域でミャンマーが最下位であった。長井さんが伝えようとされた民衆の怒りも、おそらく独裁体制下のすさまじい腐敗に起因するものだろう。
 ただ、民主化がそのまま国の経済発展にストレートに結びつくかとなると一概にそうは言えない。そこが難しいところだ。外交もきれいごとだけではすまない。しかし、最終的には民意を尊重する方向を望みたいものだ。多少発展が遅れたとしても。

調布市長 長友貴樹

(註)1993年に設立された汚職・腐敗防止活動を行うトランスペアレンシー・インターナショナル。本部はドイツ・ベルリン。今年の順位で「清潔度」ナンバー1はフィンランド、ニュージーランド、デンマーク。日本は17位となっている。

(市報ちょうふ 平成19年10月20日号掲載)

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第102号 地域に根ざした充実の日々を

 本号6面から7面で特集しているように、調布市では団塊世代(註)の地域デビューを今後とも全力で支援していくつもりです。支援メニューは趣味の充実、生活相談、健康づくり、ボランティア活動など多岐にわたっています。該当される一万人近い市民の皆様に関心を持っていただければ幸いです。
 私自身は昭和27年生まれなので団塊世代のすぐあとに位置しますが、年代的に同様の心情を有すると常々思っています。子ども時代から高度経済成長の恩恵を受けたという点では恵まれた世代と言えるでしょうし、その影響もあってか前の世代と比較すると外来文化や機械化への抵抗感が少ないと言えるかもしれません。
 ただその反面、若い人たちに比べるとまだまだ自分自身の時間の使い方が下手だという指摘も当たっているようです。いわゆる“会社人間”ということになるのでしょうか。特に多くの男性は退職後、今まで縁のなかった地域社会に急には溶け込みにくいのが実状です。無理もないことですが。
 でもやってみませんか。きっと調布のまちの温かさに触れ、心がなごみ人生が楽しくなりますよ。10年以上前にソフトボールを始めた私の実感です。

調布市長 長友貴樹

(註)昭和22年から24年のベビー・ブーム時代に生まれた世代。全国で680万人と他の世代に比べて多く、今年から定年退職を迎える。

(市報ちょうふ 平成19年10月5日号掲載)

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第101号 一難去っても

 今回の台風9号によりビニールハウスや屋根瓦その他で被害にあわれた市民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 私も7日には午前4時ごろに災害対策本部を設置するために出勤したあと、すぐに水かさの増している多摩川に向かった。
 予期したとおり、おそろしく変貌した多摩川には、濁(だく)流が轟(ごう)音とともにすさまじい勢いで押し寄せていた。はるか上流から流れてきたと思われる10メートル近い丸太が京王線の橋げたに次々にぶつかりまた流されていく。通常より約5メートルも水位が上昇したため、河川敷はとっくに水没し水上に顔をのぞかせる標識もみるみるうちになぎ倒される。その中で、刻々ともたらされる小河内(おごうち)ダムの放水量、上流における降雨量、上流他自治体の避難状況などの情報を総合して避難すべきかを判断した。ただ、日の出時刻(午前5時17分)が近づくころから夜が白み始めて目視がかなりきくようになったことは幸運だったといえよう。
 幸いその後放水量が急激に減少したこともあり今回は避難勧告を出すことなく済んだが、まだ今後も台風等による災害は起こりうる。消防署、消防団、警察署等多くの関係者のご協力に感謝申し上げるとともに、市民の皆様に日々の備えをお願い申し上げる次第です。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年9月20日号掲載)

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第100号 幾星霜、時は流れて

 今年も健全育成地区親善ソフトボール大会が、炎天下ではあったが20小学校すべての参加のもとに開催され、例年同様に素晴らしい大会となった。その熱戦を目の当たりにしつつ、私の思いはいつのまにか遠い過去にタイムスリップしていた。
 時は昭和39年。東京オリンピックの開催年で私は小学校6年生。ちょうど今回と同様に全市レベルのソフトボール大会が開催された。住んでいた市の人口は当時30万人弱。その年、私の学校は戦前から優勝候補と目されていた。たまたま野球の得意な仲間が集中した学年だったのだ。そして、チームは周囲の予想通り勝ち上がり決勝を迎える。
 両チーム投手の息詰まる好投の中、相手の唯一のチャンスで打球はセンターフライ。バックホームの球はドンピシャのストライク。誰もがアウトと思ったその時、無情にもキャッチャーミットから白球がこぼれ落ちた。
 それが決勝点となって1対0で敗れたのだが、あの瞬間を今でも時折思い起こす。負けた悔しさはもう無い。あるのはただ懐かしさだけ。スポーツ万能だったエースのK。スラッガーのキャッチャーY。好返球を遠投したセンターのH。
 もう一度だけでいい。あのメンバーと泥だらけになりながら球を追ってみたい。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年9月5日号掲載)

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第99号 かけがえのない支援活動

 今年も7月には、「社会を明るくする運動」(註1)の強調月間としてさまざまな活動が展開された。
 まず2日の京王線調布市内全9駅における啓発活動。延べ300名近い方々の参加をいただき非行防止等の呼びかけが行われた。次に8日には、文化会館たづくりにて市内公私立9中学校の代表による意見発表会。より良い社会を創るための提言はどれも論旨明快かつ温かみのある素晴らしいものだった。さらに28日は調布、狛江両市の200名近い中学生の参加によるサッカー教室。FC東京を始め、多くの関係者の皆様炎天下で大変お疲れ様でした。
 また、7月以外にも貴重な活動は年間を通して実施されている。たとえば私もこれまで2回参加させていただいた社会参加活動。これは、問題を起こした少年たちがボランティア活動に従事し周囲からの評価を得ることにより、更生への道を歩みやすくさせたいと願う支援活動だ。深大寺の仏具清掃、神代農場におけるニジマス調理、竹垣作りなど、目を輝かせて作業に取り組む少年たちのひたむきさは印象に残った。企画・運営にあたられている保護司会、また更生保護女性会、BBS会(註2)等の皆様および施設関係者に深く感謝申し上げる次第です。

調布市長 長友貴樹

(註1)法務省が主唱する犯罪や非行のない明るい社会を目指すための全国的な運動。
(註2)「Big Brothers and Sisters Movement」の略称。兄や姉のような存在として、少年たちが健やかに成長することを助ける青年ボランティア

(市報ちょうふ 平成19年8月20日号掲載)

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第98号 わがまちとしての備えを

 先月16日に発生した新潟県中越沖地震で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 休日の午前中、多くの方が自宅でくつろいでおられた時間帯に最大震度6強の大地震。さぞ驚かれたことだろう。中越地方が3年前にも震度7の地震に見舞われたことはまだ記憶に新しい。本当にお気の毒なことだ。
 調布市は今回、地震が発生して二日後に危機管理担当部長以下4名を現地に派遣した。その目的は、必要な支援に資するための被害状況の調査と飲料水等の支援物資の搬送である。現地救援活動の邪魔にならぬよう気をつけ夜行日帰りというかなりの強行軍であったが、ライフラインの切断および物資・人的両面の支援状況について情報を集めた。それに基づき今後の支援を検討するとともに、これをわが市における防災対策の参考にもしていきたい。
 日頃備えを固めているつもりでも、突如襲ってくる大災害に適切に対応することは容易ではない。携帯電話を含めて通信手段がマヒするとともに、道路が通行不能になる。さらに、都会では人口密集地での火災や都心に通う人たちの帰宅問題も深刻だ。8月26日に実施する今年の防災訓練ではより実践的な内容を取り入れる予定にしている。多くの方にご参加いただきたい。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年8月5日号掲載)

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第97号 さわやかな国際貢献

 今年も、JICA(註)の青年海外協力隊に応募して諸外国に派遣される調布市在住の若い方々が渡航前に市役所に挨拶に来られた。私にとっても、目を輝かせて対発展途上国協力に臨まれる皆さんとの対話は毎年の楽しみだ。
 今回の3人の赴任国は、それぞれフィリピン、ラオス、ジンバブエ。活動内容は教育カリキュラム策定、養殖技術指導、孤児救済活動支援と多岐にわたっている。
 私自身も前職において、対先進国事業だけでなく途上国協力にも従事した経験がある。その中で、世界の隅々まで日本の多くの若者がたくましく出かけて行って当該国の発展のお手伝いをするさまを現地で大変好感を持ってみつめてきた。本当に頭の下がる活動だが、概して彼らの表情が明るいことが強く印象に残っている。困難なことも多いだろうにたいしたものだ。
 ただ、私は彼らを送るときにあえて「頑張って」と言わないようにしている。任地での活動がそんなにたやすいものでないことを知るがゆえに、悩みすぎて精神的に参ってしまうことを心配するからだ。うまくいかないときには空を眺めて、海に身をゆだねてリラックスを。身体に気をつけて行ってらっしゃい。

調布市長 長友貴樹

(註)ジャイカ。独立行政法人国際協力機構の略称。日本の発展途上国支援事業実施機関。青年海外協力隊は、20代から30代の日本人による在外技術協力事業。

(市報ちょうふ 平成19年7月5日号掲載)

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第96号 一市民の立場で

 最近、住民税額(註)に関する質問が市役所に多く寄せられている。中には「生活を切り詰めている中で、安易な増税は許せない」との抗議もある。
 本件については丁寧にご説明する必要があるだろう。ポイントは、(1)これは三位一体改革に伴う国の税制改正によるもので、市の独自判断によるものではありません。(2)多くの方にとっては、住民税が引き上げられる分、所得税額が引き下げられるため、両税の差し引きでは税負担は変わりません。(3)ただし、別途、従来実施されていた定率減税が平成19年度から全廃されるため、その分の税負担は増加します。ということになる。ただ、このように事実を客観的にお伝えしても、なおどこか釈然としない方もおられるはずだ。
 公的立場の姿勢および説明責任については時折考えさせられる。たとえば例の年金掛金の問題だ。膨大なデータの管理が大変なことは理解しても、混乱の末に、「申請すればその通り払えと言うんですか」と政府に一方的に言われては、国民としてまことにやるせない。思わず「私が何をしたと言うんですか」と言いたくなるのも無理からぬことだと思う。
 私も当然ながら市長である前に一市民だ。これからもごく普通の感覚を大事にしていきたい。

調布市長 長友貴樹

(註)市民税、都民税を合わせたもの。時折、問い合わせがありますが、税率は地方税法に基づき全国すべての市町村で一律です。

(市報ちょうふ 平成19年6月20日号掲載)

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第95号 王子でなくても

 さわやかな五月晴れ。綿菓子のようにふわっとした雲も時折、空に浮かぶようになってきた。まだ入道雲と呼ぶほどではないけれど。
 その澄み切った青空のような印象を与える新星が男子ゴルフ界に現れた。石川遼君、15歳の高校1年生。並み居る強豪プロを押しのけて、プロトーナメントで見事に史上最年少のアマチュア優勝を果たした。大会後のコメントや良し。「天狗になりたくない」「普通の高校生でありたい」。すぐにはプロ宣言せずに学業との両立を目指すとのこと。今後の活躍を見守りたい。
 もう一人、昨年の甲子園を沸かせた斎藤佑樹投手。私も市との協力協定締結校の明大を応援するために神宮に足を運んでいるが、早大に入学して1年生春の初シーズンから大活躍なのはさすがと言うほかない。彼の発言もまた常に謙虚で好感が持てる。だから、あれほどの人気があるのだろう。
 日頃、私は市内全域のあらゆる機会で若者との触れ合いの場を持つが、彼らに好印象を抱くことがきわめて多い。学業、クラブ活動、ボランティア活動など、それぞれの分野で懸命に頑張っているすべての人たちを心から応援したい。たとえ、ハンカチを持ってはにかんでいなくとも。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年6月5日号掲載)

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第94号 笑顔に全力投球

 毎年こどもの日には、「児童青少年フェスティバル」のスペシャルイベントとして、さまざまな催しが実施されている。
 今年も、文化会館たづくりや市役所前広場で、こどもたちが日頃児童館で練習してきた太鼓、ダンス、一輪車の素晴らしい技を披露してくれたほか、折り紙や工作体験、また模擬店や大道芸のパフォーマンスなども用意された。大勢のご家族に楽しんでいただけたことと思う。
 さらに同日には、スペシャルイベントのオープニングにおいて、本ページで紹介されているように、「いじめや虐待のないまち」についての宣言を行った。
 近年全国的に、こどもを取り巻く環境の中で不穏な事例が数多く報道されている。不幸な事件を根絶するためには、問題意識を共有した上で、一体となった取組みに全市民が参加してもらうことがどうしても必要となる。そのため、行政としても市民のみなさんにことの重大性をあらためて認識していただきたいと考え、今回、宣言の発信に至った次第だ。
 イベントに興じる親子連れのはじけるような笑顔に接しながら、調布の子育て環境をもっともっと良くすることに今後とも全力投球していかなければとの思いを新たにした一日だった。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年5月20日号掲載)

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第93号 心を一つに

 今年は、FC東京をこれまで以上に応援しようと心に誓い、Jリーグの本拠地開催試合については、開幕以来すべて味の素スタジアムに足を運んでいるが、残念ながら勝利の美酒を味わえずに現在に至っている(註)。まだ、シーズンは序盤戦であり、なんとしてでも態勢を立て直して上位に進出してもらいたいものだ。
 思い起こせば3年前、2004年のナビスコカップにおいて、浦和レッズの圧倒的攻勢をしのぎきってPK戦を制しつかみとった感激の初優勝。国立競技場から移動した1万人を超える熱心なファンの雄たけびが薄暮の味スタに高らかにこだましたことを昨日のように思い出す。
 考えてみれば、Jリーグの1部に所属するクラブは全国にたった18チーム。その一つがわが地元を本拠地としており、ハイレベルな熱戦を生で観賞できる幸運をあらためて思う。また調布市内において、青少年に対する実技指導、各種イベントへの参加などを通したFC東京の市政への貢献度はきわめて高い。
 その意味でも、FC東京を支援する人の輪が老若男女を問わず市内全域で広がりを見せていることはうれしい限りだ。
 今後も郷土愛を育む一つのシンボルとしてもチームの活躍を温かく見守っていきたい。

調布市長 長友貴樹

(註)4月上旬時点。

(市報ちょうふ 平成19年4月20日号掲載)

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第92号 毎年新たに10億円

 新年度最初の本欄に何を書こうかと思いました。いろいろ心楽しいテーマもありますが、くどいとお叱りを受けることを覚悟の上で、またまたごみ問題にさせていただきました。
 しかし、いつもとは違い、まず市民の皆様にお礼を申し上げます。それは、調布市のリサイクル率(註1)が同規模(人口10万人以上50万人未満)の市の中で全国2位の素晴らしい水準にあることについてです(註2)。これはひとえに全市民の協力によるもので、他の市からも大変うらやましがられています。これからも一層、率を上げていくことができるよう、市としても具体的かつ効果的な情報提供に努めてまいります。
 そして並行してごみ減量に全力で取り組みます。
 3月31日、ついに府中、小金井両市とともに可燃ごみの焼却を行ってきた二枚橋衛生組合の焼却炉が40年間の使命を終えすべて停止しました。今後のごみ処理については近隣自治体に協力をお願いしています。しかし、それに伴う経費増は毎年10億円以上と極めて深刻です。
 保育園に、高齢者のケアに、自然環境の保全にあてる予算が失われていきます。分別の徹底、生ごみの水切りを通して、ごみの減量を。もう待ったなしです。

調布市長 長友貴樹

(註1)ごみ発生量のうち、資源物としてリサイクルした量の割合
(註2)平成16年度実績42.9%、1位は神奈川県鎌倉市45.6%(環境省発表)

(市報ちょうふ 平成19年4月5日号 掲載)

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調布市行政経営部広報課 

電話番号:042-481-7301・7302

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