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ページ番号:3524

掲載開始日:2007年3月5日更新日:2007年3月5日

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平成18年度 市長コラム「手をつなぐ樹」(第75号から第91号まで)

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コラム一覧

第91号 難病根絶への調べ

 桐朋学園には、相互協力協定のおかげもあり市政に多大なご協力をいただいている。先日も、芸術短期大学の学長で日本を代表する演出家でもある蜷川幸雄氏から、地方自治体における文化・芸術振興について貴重なご意見を頂き大変有難く感じた。
 また、同学園の多くの卒業生の方々には、市内におけるさまざまなイベントで貢献いただいている。その内の一人、バイオリニスト川畠成道(かわばたなりみち)さんの演奏を今年のニューイヤーコンサートで聴く機会を得た。
 川畠さんの奏でる素晴らしい音色に魅了されるとともに、彼がスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)(註)という難病のハンディキャップを乗り越えて演奏活動を続けていることに驚かされた。
 川畠さんが旅行先のアメリカでSJSを発症したのは8歳の時だったという。突然の病による視覚障害を克服して今日の地位を得るまでの30年近い道のりは想像を絶する険しさであったことだろう。その間、桐朋学園大学を経てロンドンの英国王立音楽院の大学院に進学し、1997年に首席で卒業されている。
 川畠さんの今後の活動に心からのエールを送りつつ、SJSを含めた難病根絶への取り組みを支援していきたい。

調布市長 長友貴樹

(註)原因の多くを薬の副作用と考えらる皮膚疾患。発生頻度はまれであるが、発症すると重篤な症状や後遺症をもたらすことがある。個人や医薬品を問わず起こりうる可能性がある。

(市報ちょうふ 平成19年3月5日号掲載)

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第90号 日溜りの縁側で

 今年は全国的な暖冬が続いている。記録的な、と言われればさもありなんと思わざるをえない。
 冬の日差しというと、私はなぜかいつも日溜りの縁側を思い浮かべる。ガラス戸越しの陽光を浴びながら、猫のように丸まって気持ちよくうたた寝をしていた幼児期。あれはいくつの頃だったろうか。
 先日、懐かしい友人に久しぶりに会った。この男と知り合ったのはもう50年近く前か。「三丁目の夕日」の時代に毎日暗くなるまでボールを追いかけた仲だ。話しだせばその頃にタイムスリップして、大声で笑い合いながらいつまでも話題は尽きない。
 会う機会もほとんど無いままに、お互い社会に出てから約30年。その間、彼は10年ほど発展途上国の工事現場に単身赴任だったとか。明るく語るがさぞかし苦労したことだろう。
 「家庭はどうだ」と問われ、少し考えて、「まあ平凡かな」と答える。結婚してから引越しは5回。その間に3人の子どもの成長を喜びつつも、高齢な親が本当に気がかりになってきた。
 ただそれにしても、今さらながらにあっという間の25年。銀の祝いと言われても、きわめて実感に乏しい。これからの人生はもう少しゆっくりと感じられるのだろうか。はてさて。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年2月20日号掲載)

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第89号 絞って除いて数億円

 1月下旬の1週間、京王線の各駅でごみ減量キャンペーンを実施しました。寒風吹きすさぶ中、連日多くの市民の方にご協力いただき心から感謝申し上げます。
 ごみの減量について、いい加減しつこいと言われるかもしれませんが、改めてお願いをしなければなりません。家庭ごみの有料化に踏み切った平成16年度には、前年度に比べ可燃ごみが目標の5000トンを上回る5800トン減少し、その成果を市民の方と喜び合ったものでした。しかし、17年度には多少気が緩んだのか再び1125トン増えてしまいました。
 現在、調布市は新たなごみ処理施設を三鷹市と共同で建設するべく準備を進めていますが、新施設が完成するまでどうしても数年間は多摩の他の処理場にごみ処理をお願いしなければなりません。決して安くないその処理費用を少しでも軽減するためには、さらなるごみの減量努力が絶対に必要となります。
 はっきり言ってとても厳しい状況です。現在、ごみ処理に要する費用は年間約36億円。それに加えて新年度から10数億円の予算が余計に必要になる見込みです。生ごみの水分を絞りきり、燃やせるごみから名刺大以上の紙を除くだけで数億円の節約です。是が非でも達成しましょう。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成19年2月5日号掲載)

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第88号 みんなあなたを忘れない

 先月、知人のMさんから久しぶりに連絡があった。Mさんは大阪の中学校時代の同期生だ。当時から才媛ぶりが際立っていたことを私は今でも鮮明に覚えている。現在は小児科のお医者さんで、4年前に私が市長になったことをきっかけに互いの消息が確認できた。なんと、以前から隣の狛江市に住んでおられたという。
 今回の連絡はイベントの紹介。「小児がんの子どもたちの絵画展」という展覧会を是非多くの人に観てもらいたいというコメントとともにパンフレットが郵送されてきた。12月中旬にたづくりで催されたのでご覧になった方も数多くおられることだろう。
 小児がんは、ほとんどが「肉腫」(註)であり、残念なことに早期発見が難しいという。しかし、子どもたちはそのような難病を抱えながらも懸命に生きている。そのひたむきさに感動した。また、享年が記されている作品を前にして特に胸が熱くなった。亡くなった子どもたちの生への望み、また幼いわが子に先立たれた親御さんの心情、まことに察するに余りあるものがある。
 ときに殺伐とする世相の中で、あらためて心のぬくもりの大切さを感じた。絵画展を開催いただいた財団法人「がんの子供を守る会」とアフラック社に心から感謝申し上げたい。

調布市長 長友貴樹

(註)骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管などの非上皮性細胞由来の結合組織細胞に発生するがん。

(市報ちょうふ 平成19年1月20日号掲載)

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第87号 わが愛しのベルギー

 ベルギー王立美術館展に足を運んだ。ブリューゲル、ルーベンス、ヴァン・ダイクなどのいわゆるフランドル絵画を堪能し、ひととき心温まる想いがした。私はとりわけ中世のヨーロッパにおける素朴な農民の生活風景を描写した作品に、以前から心惹(ひ)かれるものがある。
 20年ほど前に仕事でベルギーに約4年間住んだ。ちょうど欧州(当時はEC)が経済的統合を本格化させようとした頃だ。日欧の貿易摩擦も激化し、電子メールこそまだ無かったが、連日、東京からの指令でファックス用紙があふれた。
 あれほど忙しいことはその後の社会生活で経験しない。今後もあり得ないと断言できる。
 業務量は飛躍的に増大したが、わが身の処理能力はとても追いつかない。悔しいことに。週末を含め来る日も来る日も残業に追われ、家族をいたわるいとますら持ち得ない。優雅な海外駐在などとはおよそ無縁な日々。
 絵を眺め何世紀も変わらぬ田園風景に思いをはせながら、今なら多少の余裕を持って当時を振り返ることができる。時にはこのような時間も必要だ。

 皆様、年末年始をどのように過ごされるご予定でしょうか。来たる年のご多幸を心からお祈り申し上げます。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年12月20日号掲載)

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第86号 転ばぬ先の杖

 最近よく耳にするが、メタボリック・シンドロームとは何だろう。それは代謝異常症候群ですよと日本語で言われても、まださっぱり分からない。
 どうも、肥満に加えてその他の健康数値(高血圧、高血糖、高脂血症など)に不安があると、心臓病や脳卒中の危険性が高まるということへの警鐘らしい。そして、やっかいなのは、太っていると個々の検査値がそれほど悪化していなくても2つ以上複合した場合、深刻な病状を招くおそれが高くなるということだ。
 それでということで調べると、肥満の基準となるウエストは男性で85センチメートル以上とのことで私も該当している。その他の数値は特に問題ないので、なんとか85センチメートルをクリアーしたいと思うが難題ではある。暴飲暴食を控えて、運動を心掛けなければならない。
 そこで思い立って、今年は毎年秋に受診している厳しい健康診断の前1ヵ月間、完全に断酒してみた(私は家であまり飲まないので家人は気づかなかったようだが)。その効果は現れた。検査の数値はおしなべて例年より良好、かつ酒がないと食べる量も自然に減ってくる。
 ただ、1ヵ月の間、断酒のわけをいちいち説明しなければならないことには閉口した。正直に言って。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年12月5日号掲載)

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第85号 島訪問二題

 10月には、異なる目的で2回、島を視察で訪れた。
 まず、瀬戸内海の直島。行政的には香川県に位置するが、岡山県のほうに近い。かつて産業廃棄物が大問題となった豊島(てしま)のすぐ西にある風光明媚な島である。この島にはベネッセコーポレーションの手による芸術的建造物が複数存在しているが、その建築を手掛けられたのが建築家の安藤忠雄氏である。安藤さんには調布のまちづくりの一部をお願いしているご縁で私も時々お会いするが、以前からまちづくりの参考に直島を一度是非見てほしいと言われていた。地中美術館、家プロジェクトその他、自然との調和を図った本当に興味深い施設を拝見し啓発されるものがあった。多くの方にも訪問をお勧めしたい。
 いま一つは伊豆諸島。今なお火山噴火の後遺症に苦しむ三宅島を訪れた。これは、多摩地域の自治体の市町村長が合同で現地視察の機会を持とうと企画されたものだ。現在も残る居住禁止地区に足を踏み入れて、今更ながらに復興への道のりの容易ならざる現状を深く認識した。
 今後、観光振興などの面における貢献を東京都の自治体間で話し合うことになろうが、一刻も早い対応が必要とされる。良い案があればお寄せいただきたい。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年11月20日号掲載)

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第84号 心の安らぎを求めて

 今年は10月中旬までよくも夏日が続くものだと思っていたら、その後一気に秋が深まった。この時期は毎年、日本中の見事な紅葉をテレビ中継で眺めている。指をくわえて。十和田湖(青森・秋田)、嵐山(京都)、高千穂(宮崎)と全国に数限りなくある景勝地を訪れたいと、長年念願しつつもいまだに思いを果たせずにいる。まことに残念な限りだが、いつか必ず実現させようと固く心に誓っている。
 また、私は紅葉中継に限らず紀行番組をこよなく愛好している。自分が訪れた地を懐かしみ往時に思いをはせる時、心の安らぎを覚える。それと、景色を見つめているうちに、不意に心象風景とでもいうような、過去のどこかの情景が脈絡もなく心に浮かんでくることも楽しいものだ。地方の田園地帯を夜汽車に揺られながら進んでいく。ついさっきまでの見事な茜色の空があっという間に漆黒の闇に包まれようとしており、あぜ道の向こうまで目をこらして見渡しても人影は無い。遠く見える民家に灯りがともっている。あの灯りの下にはきっと幸せな一家団欒の夕餉(ゆうげ)があるに違いないと想像したりする。
 旅への誘(いざな)いに身を委ねて得られる開放感はなにものにも代えがたい。それを可能にするための努力はとても大切だと思う。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年11月5日号掲載)

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第83号 オペラ熱演!?

 9月23、24日の両日、グリーンホールの歌劇「カルメン」に参加した。これは、NPO法人調布市民オペラ振興会の結成15周年記念公演であり、2年間のご苦労多き準備期間を経て開催の運びに至ったものだ。
 数ヵ月前に直接の打診があった。「市長さんの役でどうでしょう」。思わず身構えた。そんな大役(?)が果たして務まるものか。「なあに、ただ歩いてもらえばいいだけですから」。生まれ持ったお調子者の血が騒いだ。「その程度で良ければ」。
 というわけで、本当は「オペラで熱演」とかっこよく言いたいところだが、最終4幕目の終盤に上手の花道から登場して、ただ歩きながら手を振ったにすぎない。それでも、なんとも言いようのない舞台の高揚感を体験させていただいた。まことに感謝に耐えない。でも癖になったらどうしよう...。
 15年もの間、活発な活動を継続し今回を含めて9回にも及ぶ公演をすべて大成功に導いてこられた会の実績に心から敬意を表する次第だ。会員相互の融和、財政面の基盤づくり、プロの芸術家との交渉など考えただけでも気が遠くなってしまう。
 市内に数多い、素晴らしい市民団体の存在が調布の高い芸術、文化水準を支えている。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年10月20日号掲載)

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第82号 飲酒運転の撲滅を目指して

 すでにマスコミにおいて一部報じられた通り、10月1日以降、飲酒運転で検挙された調布市の職員は一律に免職となります。
 これは8月25日に福岡市で発生した、同市職員の飲酒運転により3人の幼児が死亡した大変痛ましい事故を受けて内部規定を改正したものです。従来は免職もしくは停職と、ケースにより処分に幅がありましたが、今回の改正により、たとえ酒気帯び運転(註)であっても例外なく厳罰を適用することになります。また、他人の飲酒運転を黙認したり、飲酒運転車に同乗した場合についても、新たに停職以下の罰則規定を設けました。
 これに関しては、「他の自治体に比べて処分が厳しすぎる」等のさまざまなご意見があることを十分承知しています。しかし、絶対にわが市においては同様の事故を引き起こさないという固い決意のもとに、最大限の抑止効果を持たせるためにこのような措置に踏み切ったものです。
 ただし、規定の適用を極力無くすための努力も重要です。全職員に対し、飲酒量とアルコール濃度の関係を細かく解説するなど注意事項の徹底を図りました。職員のご家族にも協力を要請しています。市民の皆様のご理解をよろしくお願いします。

調布市長 長友貴樹

(註)法律違反となる飲酒運転は、酒気帯び運転と酒酔い運転に区分される。「酒気帯び」は、呼気1リットル当たり0.15ミリグラム以上のアルコール濃度の状態で、「酒酔い」より軽度。

(市報ちょうふ 平成18年10月5日号掲載)

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第81号 多摩に大きな光を

 5月23日、定例記者会見の場で問われた。「2016年のオリンピックに東京が候補地として名乗りを上げたことをどう思いますか」。予期せぬ質問を受け、日頃の思いが反射的に口をついて出た。「コンパクト五輪(註)は理解するが、できれば多摩にも光をあてていただきたい」。
 私は常々、1964年の東京オリンピックに対する調布市民の熱い郷愁の念を強く感じていた。アベベが、円谷が甲州街道を疾走したマラソンの応援などを通して、オリンピックに主体的にかかわったとの思いを今でも多くの市民の方が抱いておられる。そのような気持ちをたとえ無謀といわれようが、首長としてどうしても代弁したかった。
 その発言は予想以上に大きくマスコミに取り上げられ、さまざまな反響を呼んだが、複数の多摩地域の市長が私の見解に賛同する声をあげて下さったことはとても嬉しかった。
 その後、はからずも多摩では調布市が競技会場(サッカー)に選定され有り難い限りだ。
 今後は、候補地に決定した東京が3年後に正式開催都市になることを心から期待したい。また、2013年には(通称)多摩国体も開かれる。施設、インフラ整備を含めた多摩地域の振興策を諸方面に働きかけていくつもりだ。

調布市長 長友貴樹

(註)半径10キロメートル圏内に、ほとんどすべての競技施設と関連施設を配置。また、オリンピック専用レーンの活用により、各種競技場と選手村を20分以内で結び、移動時間の短縮を図る。

(市報ちょうふ 平成18年9月20日号掲載)

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第80号 全国制覇のかげに

 第88回夏の全国高校野球大会が、大きな感動を残して閉幕した。球史に残る大会だったことに誰も異論はないだろう。決勝戦が再試合になり、2試合とも大変すばらしい内容であった。早稲田実業および駒大苫小牧とも鍛え抜かれた実力を如何なく発揮して、まことに見ごたえのある大一番だった。
 この決勝戦を昭和44年の三沢高校と松山商業の死闘に重ね合わせた方も多かったのではないだろうか。あの時は私もまさに高校生で、同世代の熱戦に手に汗を握ったことを鮮明に覚えている。
 また、今回は私自身、それに加えて普段より熱が入る特別の理由があった。それは、早実の和泉監督と5番打者で大活躍した船橋選手が、それぞれ調布中学および神代中学出身であり、現在も調布市民であったためだ。お二人とも、調布リトルや調布シニアのOBということで、こどもの頃から調布で野球に親しみ、高いレベルの技術を身につけてこられたという。
 その意味では、長い歴史と伝統を有する調布の少年野球が全国制覇に貢献したと言っても過言ではない。
 お二人を以前よりご存知の多くの調布市民の方にとっても、忘れえぬ夏となったことだろう。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年9月5日号掲載)

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第79号 去りゆく夏に'06

 やはり今年の夏はかなり短く感じられる。平年より梅雨が長引き、7月の日照時間が少なかったせいだろう。猛暑が長期にわたれば、それはそれでうんざりするのだけれど、短い夏もまたやるせなさを禁じ得ない。
 そんな夏のせいだろうか、今年は蝉の鳴く声も途切れがちに聞こえてしょうがなかった。元来、蝉はあわれな境遇である。地上に出てくるまで10年近い歳月を費やしながら、成虫になったのちはわずか1週間の命だという。短い夏の中で、今年はその蝉の短命がことさら思われた。
 自分自身、ふと気がつけばいつのまにか人生も半ばを通り越した。最近は、時折むしょうに無常観にとらわれることがある。近親者や長い間身近に感じていた著名人が一人また一人と鬼籍に入っていく。好きな野球で見渡しても、三原、水原は言うに及ばず、杉浦、村山、皆川、大杉などがすでに故人であることがなんとなく信じられない。加えて戦後最高のスーパースターである長嶋、王も闘病生活を余儀なくされている。
 空き地で三角ベースに興じていた自分の過去が徐々に失われていくようで寂しいものだ。
 こんなことを思い始めるのは、秋が間近ということだろうか。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年8月20日号掲載)

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第78号 待機児ゼロを目指して

 ゴールデンウィーク中、市内ではさまざまな催しが展開されたが、5月5日のこどもの日には恒例の「こどもの日スペシャルイベント」が実施された。
 これは、児童青少年フェスティバルの一環として行われ、たづくりや青少年ステーションCAPSを会場に、1日で3000人を超える参加者の方に手品、和太鼓演奏などのショーやゲームを楽しんでいただいた。
 和気あいあいとした雰囲気の中で私自身も心なごむ時を過ごさせていただくとともに、今さらながらに子育ての重要性を痛感する思いがした。
 昨年度から学童クラブの待機児がやっとゼロになっている。さまざまな手段で定員増を図った結果だが、今後も努力を続けて何とか少しでも余裕を持てるクラブ運営を目指していきたいと考えている。
 一方、保育園の待機児問題は依然頭の痛いテーマだ。本年4月1日の時点で、1年前より60名ほど減少したとはいえまだ100人を超える待機児が発生している。入園を希望される保護者の方から身につまされるようなお便りを時折いただくが、そのたびに事の重大性を強く認識しております。
 平成20年の4月に待機児をなくすことを目標として、受け入れ枠の拡大に現在全力で取り組んでいます。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年5月20日号掲載)

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第77号 いやしとふれあいを求めて

 今年の桜は3月の開花から見頃が長かったので、2週間以上も楽しませてもらった。野川のライトアップ、仙川の夜桜コンサート、その他各地域の桜祭りなど本当に多くの方の献身的なご尽力により素晴らしいイベントが催された。
 桜の名所は日本各地に多く存在するが、その中で「河津桜」をご存知の方も多いことだろう。見事な枝ぶりの桜並木は名高く、毎年、関東一円からも多くの見物客が訪れている。
 3月5日付の市報でもお知らせしたように、この4月からその河津町とご縁ができた。「調布市いやしとふれあいの旅事業」と名称は少し長いが、要するに河津温泉旅行組合と協力協定を結んで、組合加盟の22の宿泊施設を利用するにあたり、なんらかの優待措置を講じてもらうという内容だ。
 これは3月末で市民休暇村多賀荘を廃止することに伴う代替施策ということになる。多賀荘に愛着を持つ市民もおられたことは事実だが、多くの方のご意見を伺った結果このようにさせていただいた。
 桜だけでなく、今井浜、河津浜、天城峠、河津七滝(ななだる)と風光明媚な観光名所も多く、また海、山の幸にも恵まれた河津に、是非私も足を運んでみようと思う。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年5月5日号掲載)

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第76号 地域の絆(きずな)を大切に

 本ページ(市報ちょうふ平成18年4月20日号1面)で紹介している「みまもっと」の事業協定調印式に出席させていただいた。上記のようになんと16にも及ぶ団体・企業が事業協力者として手を挙げて下さったのはまことに有り難い。
 ご存知のように、日本全体の人口は従来の予想より2年早く、昨年から減り始めたようだ。しかし、その中で65歳以上の高齢者の割合は、すでに19.5%に達しており、今後も増加傾向にある。高齢者が4人に1人となる社会が目前に迫ってきた。
 調布市においても、高齢者の数は現在3万5000人を数えている。そして、そのうちひとり暮らしの方は、なんと4000人以上にも及ぶ。
 こうした社会状況のもと、市では増加する高齢者や支援を必要とする障害者等が、これからも住み慣れた地域で安全に安心して日常生活を送っていただきたいと念願している。
 4年前に市長に就任した以降も、孤独死されたひとり暮らしの高齢者の発見が遅れたという大変お気の毒な事件があった。
 まだまだ本格的な景気回復とは言い難い中で、社会保障の負担増や年金問題など、年配の方を取り巻く環境は厳しさを増しているが、「みまもっと」の充実により地域の温かい絆をより大切にしていきたい。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年4月20日号掲載)

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第75号 春、それぞれのスタート

 溜飲(りゅういん)が下がるとは、まさにこのようなことを言うのだろうか。米国で開催された第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、見事に日本が初代の世界王者に輝いた。久し振りに多くの国民の心が一つになったと識者が語っていたが、私もまったく同感である。
 参加各チームとも実力は紙一重だったといえよう。メキシコに足を向けては寝られない。ただ、外国メディアが認めたように、日本チームが基本に忠実で、緻密な野球(あえて言えばベースボールではなく)にかけては世界のトップレベルであったことに間違いはない。
 共通の目的に向かって全員が一つになる。そして、偉業を成し遂げた翌日には、大いなる充実感の余韻にゆっくりひたる暇もなく、チームメートはそれぞれ異なる道に向かって歩み始める。ちょっとかっこ良過ぎるほどであった。
 春4月。スタートの季節に臨んで、なんらかの目標を自分に課す人も多いことだろう。今回の日本チームのように思い通りの成果をあげることはそんなに容易ではない。しかし、努力の過程こそが大切。そんな当たり前のことをスポーツの素晴らしさを堪能しながら、素直に実感することができた。

調布市長 長友貴樹

(市報ちょうふ 平成18年4月5日号掲載)

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調布市行政経営部広報課 

電話番号:042-481-7301・7302

ファクス番号:042-489-6411

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