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ページ番号:3526
掲載開始日:2005年3月5日更新日:2005年3月5日
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平成16年度 市長コラム「手をつなぐ樹」(第32号から第52号まで)
コラム一覧
- 第52号 一刻も早い復興を(平成17年3月5日号)
- 第51号 みんな必死の取り組み(平成17年2月20日号)
- 第50号 湯気の向こうに(平成17年2月5日号)
- 第49号 新たな半世紀に臨んで(平成17年1月20日号)
- 第48号 明るい年を信じて(平成16年12月20日号)
- 第47号 新選組フェスタ閉幕(平成16年12月5日号)
- 第46号 休日窓口スタート(平成16年11月20日号)
- 第45号 痛ましい災害(平成16年11月5日号)
- 第44号 ランドマーク誕生(平成16年10月20日号)
- 第43号 秋・雑感(平成16年10月5日号)
- 第42号 親しい感覚を大切に(平成16年9月20日号)
- 第41号 感動をありがとう(平成16年9月5日号)
- 第40号 盗難事件について(平成16年8月20日号)
- 第39号 まちのあたたかさ(平成16年8月5日号)
- 第38号 新たな思いで(平成16年7月20日号)
- 第37号 皆さんのご意見を(平成16年7月5日号)
- 第36号 運動会にて(平成16年6月20日号)
- 第35号 21万人突破!(平成16年6月5日号)
- 第34号 イベントスペース(平成16年5月20日号)
- 第33号 季節がくれた贈り物(平成16年5月5日号)
- 第32号 接遇マナーの向上(平成16年4月5日号)
第52号 一刻も早い復興を
三宅島への帰島が始まっている。今回、さまざまな事情で帰島を断念された方もおられるとのことだが、4年5ヵ月ぶりにふるさとへ帰る日を迎えて、みなさんの胸に去来するものは、どのような思いだろうか。
先日、現地で被害調査に協力した市の職員から報告を受けたが、以前の平穏な暮らしを取り戻すことは容易ではなさそうだ。
すでに多くの報道がなされているが、いまだに亜硫酸ガスの放出が収まらないためガスマスクの常時携帯が義務付けられているほか、酸性雨による被害も続いている。また、長期間放置したことにより、車や家電製品、布団類などが使用不可となり、日常生活が不便であるとともに粗大ごみの放置が全島的に大問題となっている。さらに、家屋を修繕するにしても、業者不足で数ヵ月待ちとのこと。
そのような中、本当に有効な支援として、どうか多くの人に三宅島に足を運んでいただきたいと思う。収入源である観光産業の振興なくして三宅島の真の復興はありえない。今はまだ無理だが、島としてはなんとか5月から観光客を受け入れたいとしている。釣りやダイビングで人気を集めていた島に、元の賑(にぎ)わいが一刻も早く戻ってくることを祈らずにはいられない。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成17年3月5日号掲載)
第51号 みんな必死の取り組み
「未来の都市を創る市長の会」という勉強会がある。一昨年に発足し、さまざまな縁で寄り集まった全国10都市以上の首長が名を連ねる。今回初めて東京を離れ、岩手県江刺市でしかもパネルディスカッション形式で行うこととなり、岐阜市、銚子市、目黒区の各市・区長とともに参加した。土曜日にもかかわらず、聴衆が400人を超える盛況ぶり。
産業振興、経済活性化についての各自治体の取り組みが紹介された。どの自治体も、商店街の再生、大学および企業の誘致や産官学連携などに必死に取り組んでいる。今後の事業に参考となる意見もいくつかあった。
また、最近2年間で約8000人も人口が急増したため、短期的には保育園をはじめとする施設不足など頭の痛い問題が発生していると調布市の現状をお話しした。すると、すかさず過疎化に悩む江刺市長から「是非、わが市に調布市民を受け入れたい」との発言があり、場内大爆笑。
さらに、わが市の最近の施策の中では、産業振興センターに強い関心が寄せられた。まだ施設ができあがったばかりで時期尚早だが、可能であれば、そのうちに市長さん方にお越しいただいて、いろいろ率直なご意見を頂戴したいと思っている。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成17年2月20日号掲載)
第50号 湯気の向こうに
所用で午後、都心に出る。夕方過ぎに仕事が一段落したところで空腹に気づく。ふと思いたって、以前よく通ったラーメン屋の暖簾(のれん)をくぐった。
懐かしい味に触れて、ほのぼのとした感情に包まれる。思えば、この店とも本当に長いつきあいだ。ともに足を運んだ多くの友人、かつての同僚の顔を思い出す。湯気の向こうに、過ぎ去ったさまざまな出来事が走馬灯のように浮かんでくる。
そうか、今年で社会に出てちょうど30年目になるのか。就職して期待と不安が入り混じった新人研修の頃、周囲から見ればやはり緊張感で固まっていたんだろうななどと思い、一人で苦笑する。当時、「ビューティフル・サンデー」という歌が大ヒットしていた。石油ショックはあったものの国全体は活気に満ちており、その軽快なメロディーをくちずさみながら、明るい未来を信じて疑わなかった。
30年間、ラーメンの味は変わっていないけれど、日本の経済・社会環境はその間に一変し、バブル崩壊後の低迷は長期化している。みんなで努力して、なんとか一日も早く往年の活力を取り戻さなければならない。
久しぶりに「ビューティフル・サンデー」を聴いてみたいとしみじみ思った。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成17年2月5日号掲載)
第49号 新たな半世紀に臨んで
今年はいよいよ4月1日に、昭和30年の市制施行以来、満50周年を迎える。市民の方々のアイデアなども参考にさせていただきながら、記念すべき年を盛り上げていきたい。
ただ、50周年行事を考える前に、調布市の半世紀の歩みを静かに振り返り、それぞれの時代における市の姿を正確に認識することがなによりも大切であろうと思っている。
50年の間にまちは近代的に整備され、日常生活は飛躍的に便利になった。しかし、そのような発展は、多くの方の献身的なご努力により初めて可能になったといえる。市の歴史を再確認する過程で、功績のあった皆様に深甚なる謝意を表したい。
また同時に、過ぎ去った日々の中に我々が置き忘れたかもしれない心の安らぎについても、この機会にあらためて考えてみたいと思っている。たとえば市の勃(ぼっ)興期であった昭和30年代、確かに道路には水たまりができ、電器製品の質は悪く、交通手段は不便だった。しかし反面、今よりも一家団欒(らん)を大切にして、隣近所のふれあいも多い、ぬくもりのある営みがそこにはあったのではないだろうか。
過去の良さも大事にしながら新たな半世紀のスタートに臨みたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成17年1月20日号掲載)
第48号 明るい年を信じて
先日、健康診断を行った。年に最低1回は徹底的に身体のチェックをしようと決めている。
検査の内容は、内視鏡2回のほか、MRI、CTスキャン、超音波、心電図などなど極めて多岐にわたるもので、終了後はさすがにぐったりしてしまう。幸いにして検査結果は異常なしとのことでとりあえず安堵したが、今後とも健康管理には十分注意していきたい。
検査当日、待ち時間が長いため図書コーナーの本を手に取ったら、あっという間に2冊ほど読めてしまった。私は典型的な乱読派であり、多い時には年間に300冊ほども文庫本を読んでいただろうか。今は読書にさく時間がかなり少なくなっていることをいささか反省もする。もっと日々の生活に潤いを持たねば。
今年読んだといえば、やはり新選組関連の書物が多かった。調布市としては、新選組に明け新選組に暮れた感のある平成16年だったと言えよう。大河ドラマのおかげで調布を訪れる方が増え、市全体の産業振興に良い影響があったことは疑いない。
来たる平成17年は、景気回復が確かな足取りをみせるとの楽観的な予測もあるが、是非そうなってほしいものだ。
新たな年における皆様のご多幸を心からお祈り申し上げます。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年12月20日号掲載)
第47号 新選組フェスタ閉幕
11月28日、「ちょうふ新選組フェスタ」の閉幕式を挙行した。
日ざしが眩(まぶ)しいほどのうららかな小春日和のもと、神代植物公園内の大芝生では、去りゆく秋を惜しむかのように、大勢の来場者が芝生に腰をおろしたりしながらゆったりと時を過ごしておられた。そののどかな光景を目の当たりにして、点描派の画家スーラの「グランドジャッドの日曜日」が目に浮かんだ。
2月から9か月間にわたり開催した同フェスタを事故もなく終えることができたのは、関係者各位のご協力の賜物(たまもの)であり、心から感謝申し上げたい。
ただ、開催期間におけるフェスタ入館者数は残念ながら当初の目標をかなり下回った。今後、他事業に取り組む際の反省材料としなければならない。
しかし、フェスタ会場である神代植物公園への来場者や深大寺周辺の観光客は、例年に比較して顕著に増加した。また、フェスタの紹介などを通じて調布市が新選組関連でテレビ、新聞等に取り上げられた回数は今年200回近くにも及び、投下したコスト以上の宣伝効果があったと考えている。
この気運を一過性のものとすることなく来年の市制施行50周年につなげ、記念の年を大いに盛り上げていきたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年12月5日号掲載)
第46号 休日窓口スタート
先頃、新聞社が実施した行政サービス調査の結果が発表された。同調査は、子育て環境、高齢者福祉、教育、公共料金、住宅・インフラに関わる30項目について、全国の市区を対象に、サービスの度合いを点数化して優劣を判定するものだ。それによると、回答のあった683市区中、調布市は、第14位であった。一応、高評価とはいえるものの、東京およびその周辺の市区が軒並み上位にランクされる中にあって、調布市も周辺自治体に遅れをとらないように、ますます頑張っていかねばならないとの思いを新たにした。
そのような中、試行ではあるが、11月28日の日曜日から市民課と国保年金課で休日の窓口開設がスタートする。この2課は、転出・転入届、住民票、戸籍謄・抄本、印鑑証明、国民健康保険、年金関係など、まさに市民生活の基盤を支える業務を担当している。
今回の措置は、平日に市役所を訪れる時間が確保しにくい市民の方を中心に、以前から提出されていた要望におこたえしようとするものである。当面は、第2土曜日と第4日曜日の月2回の開設だが、利用度を詳細に把握しながら今後の業務拡大について考えていくつもりだ。ご意見をお寄せいただきたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年11月20日号掲載)
第45号 痛ましい災害
10月23日夕方に発生した新潟県中越地震の被害はまことに甚大なものである。10月28日現在、死者32人、負傷者2211人、避難しておられる方が約10万人とのこと。復旧にはかなりの時間を要するとみられている。被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
調布市としては、10月26日および28日の2回にわたり、12人の職員を現地に派遣した。食料品や生活必需品を届けることにより少しでも救援活動のお役に立ちたいとの思いだ。寒さも厳しさを増す折、今後とも可能な支援策を講じていく。
また、先月は命の尊さを痛感する災害が調布市内でも発生した。10月15日未明の上石原における火災により、第三小学校6年生の奥田健児君が亡くなった。
お仕事でご家族が不在の中でのできごとだったという。どんなに心細かっただろう、どんなにか怖かっただろう、と思うと胸が締め付けられる思いだ。「可哀想(かわいそう)」などという月並みな言葉では到底言い表せない。11年8ヶ月のあまりに短すぎた人生。弔問に伺い、健児君のあどけない写真の前で合掌させていただいたが、ご家族の心境をお察しすると、しばらく顔を上げることもできなかった。
心からご冥福をお祈り申し上げます。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年11月5日号掲載)
第44号 ランドマーク誕生
10月9日、国領駅北口の再開発ビル「コクティー」(註)の竣工式に出席した。地上34階、高さ118メートルと多摩で一番のノッポビルである。
これは、複合機能を持った建物であり、都市型住居空間と商業・業務用スペースが共存している。当日、早速小売店舗をのぞいてみたが、営業初日から、なかなかの賑(にぎ)わいであった。
それに加えて、同ビル内には、市民活動を支援するための「市民プラザあくろす」を開設する予定となっている。「あくろす」には、(1)ボランティア・NPO支援(2)男女共同参画推進(3)産業振興の各部門が設けられ、日々、多数の市民の方に利用いただくこととなる。それぞれの部門は、これまで多くの市民の方から寄せられた意見を取り入れながら運営されていくこととなるが、来年2月のオープンに向けて、現在着々と準備が進んでいる。
今年に入り、新宿副都心の高層ビルから西を見渡す時など、「コクティー」が本当に間近に感じられ、あらためて調布のランドマーク(目標物)ができたんだなあとの思いを強くした。
今後、知人には、「あの高いビルのあたりが、わがまち調布です。是非一度、足を運んでみてください」と言ってみようと思う。
調布市長 長友貴樹
(註)コクティー(Kokuty)とは、市民公募により決定した愛称で、国領という地名と、複合施設である再開発ビル及び駅前広場などの公共施設により形成された都市(シティー)という言葉をミックスした造語
(市報ちょうふ 平成16年10月20日号掲載)
第43号 秋・雑感
金木犀(きんもくせい)の香りが立ち込めると、秋の訪れが本格的に感じられて急にもの悲しさに包まれる。ほんの1か月前までの猛暑がまるで嘘のようだ。
私は、子どもの頃から四季の中では夏が一番好きだった。小学校までは野球に、中学ではテニスに連日打ち込んで一夏を過ごした。炎天下で一日中、あれだけ激しい運動をして、よく倒れなかったものだと思う。当然ながら、今はもう身体も硬くなり、スタミナも若い頃の十分の一程度の不甲斐(ふがい)なさ。先日、運動中に軽い肉離れをおこした時には、「歳をわきまえろ」との大合唱が家の内外で沸き起こった。無念やるかたなし。
ただ、おもしろいことに運動能力の低下と反比例するかのように、齢(よわい)四十を数える頃から、だんだんと秋が好きになってきた。
思わず深呼吸したくなるような澄み切った秋空のもとで、見知らぬまちを足の向くまま散策することが好きだ。特に下町の風情に触れる時など、何かの拍子にふっと幼少期の世界に迷い込んだような不思議な感覚にとらわれる事がある。気がつけばいつのまにか日が暮れて、路地から人通りが絶え、急に心細くなったあの日。郷愁にひたる一瞬に心の安らぎを感じる。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年10月5日号掲載)
第42号 親しい感覚を大切に
本コラムにつきましては、日頃皆様からさまざまなご感想、ご意見を頂戴しており、あらためて感謝申し上げます。
その中で、コラムの改善事項として、複数の方から文体に関するご指摘をいただいております。それは、現在使用しているいわゆる「である調」より、「ます調」の方が丁寧で良いのではないかとのご意見です。
それについて、手短かに私の思いを述べさせていただきます。
確かに「ます調」の方が、柔らかな印象を与える文章になると思います。しかし、その反面、表現が多少まわりくどく、かつ、よそよそしくなるきらいがあるのではないでしょうか。時によって「である調」の文章に尊大さを感じ取られる場合もあろうかと存じますが、それは取り上げるテーマにもよるのかと考えます。私が「である調」を使用するのは、あくまで市民の皆様に対し、常に親しい感覚を大切にしながら語りかけていきたいと願うからにほかなりません。
ただし、今後テーマによっては「ます調」を使用することもあると思われますし、また、多くの方から継続して異論が寄せられれば、文体を変えることを再度検討いたします。
ご指摘に感謝しつつ、ご理解をお願い申し上げる次第です。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年9月20日号掲載)
第41号 感動をありがとう
8月29日に閉幕したアテネ五輪は、日本国中に大きな感動の渦を巻き起こした。メダル数37、うち金メダル16個という、大会前の大方の予想を上回る好成績のおかげで大いに溜飲を下げることができた(連夜の寝不足は少しこたえたが)。
水泳の北島選手の「ちょー気持ちいい」は、今年の流行語大賞の候補になりそうだが、ものおじしない現代の若者気質の良い面が、本番でも実力通りの結果を生み出す原動力となったのだろう。以前は国際舞台に弱い日本選手と言われたが、スキー複合の荻原健司選手あたりから、明らかに変わってきた。
調布市から参加したシンクロナイズドスイミングの藤丸真世(みちよ)さんは見事に銀メダルを獲得した。快挙、本当におめでとう。また、野球チームを銅メダルに導いた中畑清ヘッドコーチ、サッカーに出場したFC東京の茂庭、今野、石川、徳永の4選手、大変お疲れさま。そして野球の審判員として日本から唯一参加された林清一さん、誠にご苦労さまでした。
引き続き、9月17日からはアテネ・パラリンピックが始まり、調布市からは卓球に富岡成一さんが、ウィルチェアーラグビーに福井正浩さんが出場される。健闘を心からお祈りしたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年9月5日号掲載)
第40号 盗難事件について
私を始めとする職員一同、市民の皆様に対し、心からお詫び申し上げます。
新聞報道等でご存知のことと思われるが、8月4日未明に市役所に泥棒が侵入して、現金約1160万円、その他小切手などが盗難にあった。賊は2階の窓ガラスを割って市庁舎内に入り込んだとみられている。
幸い、金品以外の個人情報流出被害などはなかったようである。しかし、お預かりした貴重な財産をこのような形で失うこととなり、ただただ頭(こうべ)をたれるほか言葉もない。
「後悔先に立たず」というが、防犯センサーなどの備えがあったらと悔やまれる。当然のことだが、警察署のご指導を仰ぎながら、再発防止のための庁内体制整備に全力でかつ迅速に取り組んでいく。
また、この機会に市役所内の盗難防止に留まらず、危機管理全般について取り組みを再点検するつもりだ。先の新潟県などにおける豪雨災害でも、避難勧告、高齢者の救出ほか数多くの教訓がもたらされた。
その他、火災、交通事故、食品の安全性、情報管理、犯罪防止および青少年保護など、すべての分野における危機管理の徹底を再度図っていきたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年8月20日号掲載)
第39号 まちのあたたかさ
今年も花火大会を終えることができた。例年に比べて風が多少強かったために、煙が上空に残ることなく、より鮮やかな色彩を楽しむことができた。
ただ、風があるということは、それだけ火災の危険も増すわけで、消防署および消防団の皆様には例年以上のご苦労をおかけした。その他、警備全般をお願いした警察署の方々を始めとして、とてもこの欄には書き尽くせないがボランティアを含めて1500名にも及ぶ多くの方のご協力、また企業、団体等のご支援があったことを報告するとともに、心から感謝を申し上げたい。
終了後には、市民の皆様から感嘆の声とともに、花火を一層楽しむための貴重なご意見も寄せられている。来年以降の参考にさせていただくつもりだ。
それにつけても、観客が30万人を超えるこの大イベントの開催を心待ちにする一人ひとりの心情に、調布市民の郷土愛の深さを見る思いがする。
盆踊りや地域運動会などについても同様だ。それぞれの地域で、本当に献身的な協力体制に支えられて、素晴らしい催しが長年にわたり続いている。
来年の市制施行50周年に臨んで、改めて調布のまちの持つ「あたたかさ」を大事にしていきたいと思う。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年8月5日号掲載)
第38号 新たな思いで
昨年は冷夏だった。灼(しゃく)熱の太陽を待ち焦がれるうちにいつのまにか秋になってしまった感じで、人生でひと夏損をしたような気がしたものだ。対照的に今年は7月上旬から連日、真夏日が続いている。そうなると今度は、こんなに雨が少なくて農作物の生育が大丈夫かと気にかかる。なかなかうまくいかないものだ。
塩梅(あんばい)とは、本来塩と梅酢で調味し料理の味加減を調(ととの)えること。それが転じて物事のほどあい、かげんの意を表すが、何事も「いい塩梅」にすることは難しい。
市の取り組む事業に、いかにして優先順位をつけるか、また、それぞれの事業をどのように実施していくか、皆さんにご相談する。しかし、通常どの案件にも、さまざまな意見が存在する。多様な声を塩梅良く調和させることは、そう簡単ではない。
家庭ごみの一部有料化は、4月に開始以来、幸いにも皆様のご協力により順調に推移して、ごみの減量効果をもたらしつつある。しかし、実施前には地域によって根強い反対もしくは慎重論があったことも事実だ。
市長に就任してから、今月で丸2年が経過しようとしている。まだまだ勉強を重ねる日々だが、調和を念頭に、新たな思いで市政運営に臨んでいきたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年7月20日号掲載)
第37号 皆さんのご意見を
平成16年度も、市民の皆さんとの対話集会「ふれあいトーキング」を続けている。月一回程度のペースで市内全域を回るつもりだ。
また今年度は、通常の集会に加えて、行財政改革アクションプランに関するご意見をいただくために、特別な話し合いの場も設けている。
同プランは、21世紀における市役所の果たす役割に、さまざまな角度から検討を加えたものだ。提供するサービスの廃止・縮小・民間委託など、多岐に渡り事業を見直す内容となっている。時代に見合った公共サービスのあり方について、是非とも多くの方のご意見を拝聴したい。
ご意見と言えば、「市長へのはがき」を始めて、はや1年が経過した。5月末までに918通、1003件のご意見をお寄せいただいている。
年齢層は、お年寄りから子どもまできわめて広範囲に及んでおり、それぞれの年代における関心事項の違いがよくわかる。その中でもやはり多いテーマは、(1)ごみを含む環境問題(2)教育・子育て(3)福祉であり、合計で全体の約50パーセントを占める。
回答にやや時間を要するものもあるが、皆さんとの貴重な意見交換の場をこれからも大事にしていきたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年7月5日号掲載)
第36号 運動会にて
親しい友人が転勤になるという。ささやかな送別会を催した。聞けば、五十路を前にして妻子を残す単身赴任とのこと。寂しげな様子がひしひしと伝わってくる。杯を持つ手がいかにも重そうだ。
思い起こせば今から6年前、結果的にはサラリーマン生活最後となった転勤に臨んで、私もなんとか家族全員での生活を続けたいと強く願った。そのため、高校生を頭にした3人の子どもたちには急に異国での生活を強いることになり、ある意味では負担をかけてしまった。
そのことが彼らの人生にどのような影響をもたらすことになるのか、まだ最終的な答を得るには至っていない。しかし、成人となり、独り立ちする前の貴重な時間をできるだけ家族で共有しようとしたことは間違っていなかったはずだと自分では思っている。
先日の運動会シーズン、いくつかの学校にお邪魔した。さまざまな競技に懸命に取り組む子どもたち、そしてそれを温かく見守るご家族の笑顔。
「考えてみれば、親子が共に暮らし、意思の疎通を図る期間は、意外に短いと言えるのかもしれないな」。微笑ましい光景を目の当たりにしながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年6月20日号掲載)
第35号 21万人突破!
「京王線で世田谷を通過して調布に入ると、急に緑が多くなりますね」。
市内外の方からよくそう言われる。新宿からわずか15分の距離で深大寺、多摩川をはじめとした素晴らしい自然に接することができる幸せを今さらながらに痛感する。また、このような調布市の良好な自然環境に好感を持って、移り住んで来られる方が増えることは嬉しいことだ。
そうした中、5月1日現在の集計で、調布市の人口が初めて21万人に達した。(註)
現在、多摩26市中、人口が20万人以上の市は、調布市以外には八王子(53万人)、町田(40万人)、府中(23万人)の3市を数えるのみである。
ただし、わが市の近年の人口増加率は他市に比べてもかなり高い。市内で大型マンションの建設が相次いでいることが主な要因と考えられるが、この2年間で約5000人増えた勘定になる。
喜ばしい反面、急激な人口増が従来からの懸案解決を一層困難にすることもまた事実である。学校、保育園など、現在でも過密もしくは待機が発生している状況をいかに改善していくか。
今後の見通しをしっかり立てた上で、この難題に対処していきたい。
調布市長 長友貴樹
(註)総人口210,015人(住民基本台帳人口206,396人・外国人登録3,619人)
(市報ちょうふ 平成16年6月5日号掲載)
第34号 イベントスペース
5月9日、「調布親子まつり」に参加した。
このまつりは、今年で15回目になるそうだ。調布駅南口広場をはじめ、グリーンホール、文化会館たづくり、総合福祉センターを使用してさまざまなアトラクション、模擬店、物販、展示、ゲームコーナーなど本当に盛りだくさんな内容。聞くところによると、実行委員の方々は半年前から準備をしてこられ、当日かかわったスタッフは400人にも及ぶとのこと。みなさん大変ご苦労さまでした。
こどもの日に開催された「こどもの日スペシャルイベント」なども同様だったが、市内全域のボランティアの協力によりイベントが運営されている。このすばらしい人の輪のつながりを末永く大事にしていきたい。
ただ、今秋から京王線地下化の工事が始まるため、これらのイベントも次回からしばらくの間、調布駅南口広場では実施できなくなる。親子まつりの会場で、実行委員の方と話をした。「市長、来年からどこでやったらいいですかね」「そうですね。市役所前のスペースはどうですか」「ビル風でテントが飛ばないかな」。
夢のあるまちづくりが完成するまで、みんなで知恵を出し合って不便を克服していきたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年5月20日号掲載)
第33号 季節がくれた贈り物
今日はこどもの日。お子さんとかわした約束を果たされるご家庭も多いことだろう。時代が移り変わろうとも、親子のふれあいの大切さが薄れることはない。
親子で共に過ごそうとする時、調布に住む幸せをしみじみと実感する。多摩川河川敷で野球、サッカー、土手でサイクリングに興じるほか、カヌー遊びなども楽しめる(カヌーは親子の共同作業にはうってつけかもしれない)。また、深大寺周辺を子どもと一緒に散策して、武蔵野の自然林の中で共に遠い時代に思いをはせるのもいいだろう。また、都立神代植物公園で、四季折々の花をめでるのもまことに心が癒(いや)される思いである。
ところで花と言えば、先月初旬に行われた野川の桜のライトアップ。私は残念ながら今年は伺えなかったが、訪れた多くの方から感嘆の声をお聞きした。調布の風物詩としてすっかり定着した感がある。このイベントには市としてなんら財政的支援を行っているものではない。武藤社長以下株式会社アーク・システム社の皆様のご好意に心から感謝申し上げたい。また、河川敷の清掃などに協力された多くのボランティアの皆さんにも頭が下がる思いである。地域の交流の輪も広がり、市民の力で調布の名物が1つ増えた。ありがたいことだ。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年5月5日号掲載)
第32号 接遇マナーの向上
市役所における接遇の現状について、時折うれしいお便りをちょうだいする。「市民に対する接し方が以前より丁寧(ていねい)になった」とか、「先日、ある課でとても親切に対応してもらいうれしかった」というような内容だ。
しかし、その反面、まことに残念ながら、電話の応対を含めて、接遇に対する不満、批判を述べるご意見もあとを絶たない。
市役所としても、当然ながら接遇マナーの向上に向けて本気で取り組んでいる。接遇研修の実施のほか、若手職員を中心に窓口の整理整とんの状態や身だしなみのチェック、電話応対調査などを実施するとともに、全庁的接遇体制の指針となるマニュアルも作成中だ。
なんとか、市民の皆さんに一層親しみを感じてもらえる組織にしたいと念願している。
今後、電話応対や接遇において疑問や不満を感じられた場合は、その事柄をなるべく具体的にお知らせ願えないだろうか。いつ、どのセクションで、何が問題だったのか確認の後、速やかに返答させていだたく。確認の過程で、相互の認識に誤解があれば十分説明させていただくし、市側に明らかな落ち度があれば、率直に非を認めてすぐに対策を講じる。ぜひとも、本音のご意見をお寄せいただきたい。
調布市長 長友貴樹
(市報ちょうふ 平成16年4月5日号 掲載)